胡蝶蘭の病害虫対策
細菌・カビによる病気
細菌やカビが原因の病気としては以下があげられます。
- ・軟腐病
- ・褐斑細菌病
- ・炭そ病
- ・フザリウム立枯病
高温多湿の環境下で菌が発生しやすく、株が弱っていると感染しやすくなります。
通気性に気を付け、胡蝶蘭を健康に保つことができれば予防することができます。
感染力が強い病気が多く、発症すると周りの株にも病気が広がる恐れがある点は注意が必要です。
軟腐病
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原因 |
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軟腐病はバクテリア菌(エルビニア)が原因で発症する病気です。
葉に水に濡れたような斑点が現れ、次第に広がっていき、最終的に葉を腐らせます。
軟腐病の対処法
- 軟腐病になった胡蝶蘭を隔離する
- 葉を大きめに切り取る
- 患部を消毒する
- 直射日光が当たらない風通しの良い場所で様子を見る
軟腐病は感染力が強いため、他の植物に移らないよう株を隔離しましょう。
感染した患部を切り取って風通しの良い場所で管理します。
褐斑細菌病
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原因 |
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褐斑細菌病はバクテリア菌(シュードモナス)が原因で、褐色の斑点が現れます。
完治が難しいため、見つけ次第対処が必要です。
褐斑細菌病の対処法
- 褐斑細菌病になった胡蝶蘭を隔離する
- 葉を大きめに切り取る
- 患部を消毒する
- 直射日光が当たらない風通しの良い場所で様子を見る
褐斑細菌病も感染力が強く、進行スピードが早いためすぐに株を隔離します。
患部を切り取り、消毒を行ってから風通しの良い場所で管理しましょう。
炭そ病
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原因 |
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炭そ病は弱った葉がカビに感染することで発病します。
原因となるカビ菌は発病適温が25℃前後で胡蝶蘭の生育に適した気温と同じです。
しかし、株に元気があり、風通しの良い場所で管理すれば予防できる病気です。
炭そ病の対処法
- 風通しが良い場所に感染株を隔離する
- 葉を大きめに切り取る
- 患部を消毒する
炭そ病の胞子が飛散すると感染が広がってしまいます。
風通しの良い場所に感染株を移動して、患部を5㎜ほど広めに切り取って消毒しましょう。
フザリウム立枯病
症状 |
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原因 |
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フザリウム立ち枯れ病は植物の根から侵入します。
一度感染すると治療が難しいため、早期発見と予防が重要です。
フザリウム立ち枯れの対処法
- 風通しの良い場所に移す
- 黄変した葉は取り除く
- 植え替えを行う
- 乾かし気味に管理する
根や葉を切除した際は、トップジンMペーストなどの殺菌剤を塗布しておくと断面からの菌の侵入を防げますよ。
胡蝶蘭に寄生する害虫
胡蝶蘭を庭やベランダなどの屋外で育てていると、害虫に寄生される可能性があります。
代表的な害虫には以下があげられます。
- ・カイガラムシ
- ・ハダニ
- ・アブラムシ
害虫は胡蝶蘭の生長不良を招くことに加え、1度では駆除できない厄介な存在ですので予防対策が重要です。
カイガラムシ
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影響 |
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胡蝶蘭に寄生する種類には、カイガラムシとコナカイガラムシなどがいます。
茶色い粒、または白くふわふわした形状をしており、胡蝶蘭の葉から養分を吸い取ります。
カイガラムシの駆除方法
- カイガラムシを落とす
- 殺虫剤を塗布する
- 1~2週間に1回様子を見て駆除する
綿棒や歯ブラシでカイガラムシを取り除いた後で薬剤を塗布します。
1度では駆除できないことが多いため、定期的に様子を見て繰り返し駆除しましょう。
ハダニ
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影響 |
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ハダニは体長0.3mm~0.5mm程度の赤色をした小さな害虫です。
胡蝶蘭とハダニが好む気温が似ているため、油断すると年中発生する恐れがあります。
ハダニの駆除方法
- 霧吹きで水をかける
- 殺虫剤を散布する
- 複数の薬剤を順番に散布する
ハダニは湿気に弱いため、霧吹きで水をかけると追い払うことができます。
水をかけても再発生する場合は薬剤を散布して駆除しましょう。
ただし、ハダニは薬剤への抗体ができやすいため、複数の薬剤を順番に使用しましょう。
アブラムシ
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影響 |
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アブラムシは一度に大量発生する傾向があります。
成長サイクルが早いため、見つけ次第早期に駆除を行いましょう。
アブラムシの駆除方法
アブラムシを駆除する際は、以下の薬剤を散布しましょう。
- オリオン
- テルスター
- マドマイヤー
またアブラムシは光を嫌う性質があるため、鉢の下に光るものを置くと予防対策になります。
その他の病気
細菌や害虫による被害以外にも、育て方が合わずに胡蝶蘭に以下の不調が出てしまうことがあります。
- ・葉焼け
- ・根腐れ
- ・凍傷
症状が進んで重症化すると復活できない可能性が高くなるため、小まめな観察と早期発見を心がけましょう。
また、上記の病気は生育環境の不一致が原因のため、育て方やお手入れ方法も見直してみましょう。
葉焼け
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原因 | 直射日光を浴びたことによる葉の痛み |
葉焼けは胡蝶蘭が直射日光を受けたことにより葉が焦げる症状です。
葉焼けを起こすと、最終的に葉が枯れ落ちてしまいます。
また、葉が弱ると他の病気に感染するリスクが高くなるため、注意が必要です。
葉焼けの対処法
- 直射日光が当たらない場所に移す
- 焦げてしまった患部を切り取る
葉焼けを起こした胡蝶蘭は直射日光が当たらない場所に移します。
焦げた患部は放っておくと広がってしまうため、切り取って症状が広がることを防ぎましょう。
根腐れ
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原因 |
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根腐れは根が常に水分に晒されていることで起こる症状です。
胡蝶蘭に起こりやすいトラブルで、進行がゆっくりなため、気づいたら重症になっていることも。
花や葉に不調を感じたら、早期に根腐れしていないか確認して対処しましょう。
根腐れの対処法
根腐れは進行具合によって対処法が異なります。
根がスカスカになっていないのであれば、根を乾かしたり水やり頻度を改善すれば根腐れが収まることがあります。
根が変色して腐っている場合は以下の手順で植え替えを行います。
- 鉢から株を取り出す
- 腐った根、枯れた根を剪定する
- 根に殺菌剤を塗布する
- 新しい鉢と植え込み材に植える
植え替え後は2週間程度水やりを控えましょう。
根の剪定や植え替え後は胡蝶蘭がダメージを受けているため、風通しが良く、暖かい場所で休ませましょう。
凍傷
症状 |
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原因 |
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凍傷は胡蝶蘭を寒い場所に置いたことで起こる症状です。
胡蝶蘭は寒さに弱く、気温が10℃を下回ると凍傷になって弱ってしまう恐れがあります。
冬場であっても、最低気温を15℃以上に保つことで予防することができます。
凍傷の対処法
- 気温18~25℃程度の暖かい場所に鉢を移す
- 昼間は明るく、暖かい場所に置く
- 気温が下がらないよう維持する
2~3日すると、葉が黄変して落ちることがあります。
株が生きていれば復活する可能性があるため、気長に様子を見ましょう。
病害虫を予防する対策方法
胡蝶蘭を病害虫の被害から守るためには、適切な環境で育てることと、細菌やカビ菌、害虫を胡蝶蘭に近づけないことが重要です。
適切な環境(置き場所)で育てる
- ・18~30℃の適温を維持する
- ・湿度を50%~70%に保つ
- ・風通しを良くする
- ・直射日光を避けて室内で育てる
胡蝶蘭は暖かくて湿気がある環境を好みます。
しかし、直射日光は刺激が強すぎるため、風通しのよい明るい日陰で胡蝶蘭を育てるのが最適です。
菌や虫を寄せ付けない対策を行う
- ・水やりは控えめにする
- ・鉢や道具は都度消毒する
- ・定期的に薬剤を散布する
- ・株の間隔を適度に開け、新株は2週間程度隔離する
水やりを控えめにする、道具を都度消毒することでカビ菌の繁殖や細菌の付着を防げます。
また、定期的に薬剤を散布することで防菌や虫よけなどの効果を期待することができますよ。
念のため新しい株を2週間隔離したり、株同士の間隔を開けておくと株が病気を持っていても感染を防げる場合があります。