ここからは、花屋を開業するまでの準備や手続きについて解説していきます。
物件探しや資金調達は想定より時間がかかることがあるため、希望の開業時期がある場合はできるだけ早めに準備を進めるようにしましょう。
お店のコンセプトを決める
花屋の開業に向けて、まずは「どこでどのようなお店を開きたいか」というコンセプトを考えましょう。
たとえば、
「繁華街で高級な花を揃えたラグジュアリー感のあるお店にしたい」
「家庭で楽しめるお花を取り揃えた地域密着型のお店を住宅街で開きたい」
といった具合です。
コンセプトが曖昧なまま開業すると、品揃えや価格と客層が合わず売上に悩んだり、お店の特徴がなく競合店に差を付けられることになります。
物件を探すのも、お店のコンセプトが固まってから始めるようにしましょう。
事業計画書を作成する
お店のコンセプトが決まったら、事業計画書を作成します。
ここで販売する花の種類や価格、販売促進方法などの営業戦略のほか、売上高や利益の見込み額、資金繰りの計画など、より具体的な内容を考えていきます。
事業計画書は金融機関から融資を受けるときに必要になりますが、自分で目標や計画を整理・確認するのにも役立ちます。
資金を調達する
開業資金は自己資金を充てる以外に、金融機関から借り入れるという方法もあります。
銀行など民間の金融機関は個人事業主への融資について審査が厳しい傾向にあるので、国が100%出資をしている日本政策金融公庫から借り入れるのがおすすめです。
日本政策金融公庫は、女性や若年層・シニア層の起業に積極的に支援を行っており、低金利・無担保・無保証で融資を受けられるため、小規模の花屋の資金調達先としても多く利用されています。
仕入れルートを確保する
花屋の仕入れ方法には、市場・仲卸業者・インターネットの3つがあります。
しかし、市場や仲卸業者で仕入れるには花屋としての経営実績や開業していることを証明する必要があるので、開業前に市場や仲卸業者からの仕入れルートを確保しておくことは難しいといえます。
そのため、まずはインターネットで仕入れを行うのがおすすめです。
花の卸売りを行っているサイトを調べ、販売したい花を取り扱っているか、何本から購入できるかなどをチェックしておきましょう。
物件の契約をする
コンセプトに合った物件が見付かれば、契約に進みましょう。
このとき、仲介手数料や保証金、礼金などの物件取得費用を支払います。
居抜き物件で費用を節約!
元々花屋だった物件を利用すれば、内装工事などがある程度済んでいるため工事費を抑えられます。
開業したい場所に居抜き物件があれば、候補として検討してみてはいかがでしょうか。
内装・外装の工事をする
物件の契約が済んだら、電気・水道・床・照明などの内装工事と看板や塗装などの外装工事を発注します。
見た目のデザインも重要ですが、店内はお客さんの動線や水回りの使いやすさなども踏まえて設計する必要があります。
まずは店舗イメージや希望などを、工事業者と細かく打ち合わせをしていきましょう。
什器や備品を準備する
花用のハサミやバケツなどのお手入れ用品のほか、ラッピング資材、ディスプレイに必要な什器やレジなどを購入します。
大きめの作業台や椅子、フラワーキーパーなどは店舗の規模によって購入するかどうかを検討しましょう。
開業したあとに買い足すこともできるので、開業時は最低限のものだけ揃えておいても問題はありません。
お店の宣伝をする
チラシやホームページなどは開業前に完成させ、お客さんに見てもらえる状態にしておきましょう。
特に業者に作成を依頼する場合は、余裕を持って数カ月前から発注しておきます。
自分でSNSを運用する場合も、開業前に投稿をしておくとオープン時にどんなお店か知ってもらいやすくなります。
商品の準備をする
オープン2~3日前から仕入れを開始します。
家庭用に人気のあるバラやカスミソウなどの定番商品のほか、季節ごとに需要のある花も合わせて仕入れておきましょう。
特に母の日などのイベントとオープン日が近い場合は、品薄にならないよう1~2週間前から注文をしておく必要があります。
開業する
無事にオープン日を迎えたら、1ヵ月以内に開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を管轄の税務署に提出しましょう。
また、開業届があれば仲卸業者からの仕入れができるようになるので、市場へ「買出人章」の取得申請を行いましょう。